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かつては酷評も今は溺愛。“キャプテン”メッシはなぜアルゼンチン代表でも輝けるようになったのか?

text by 藤坂ガルシア千鶴 photo by Ryota Harada

サベーラ監督の地道で的確なチーム作り

 コロンビア戦での執念の逆転は、ファンとメッシ、そしてファンと代表の距離を一気に近づけた。それまでは売れ残っていた試合のチケットも、続くホームでのエクアドル戦では発売開始から数時間で完売。

 母国のファンによる支援を得たメッシが彼らのためにと得点を決め、ファンが喜び、またメッシが得点を決めるという好循環が表れ始め、もはや「バルセロナのメッシ」と比較する声は聞こえなくなり、キャプテンの肩書に相応しい姿勢で常に攻撃を先導。チームは順調に勝点を加算し、無敗のまま第16節のパラグアイ戦での2-5の勝利とともに本大会出場を決めた。

 もちろん、勝利の神様が地上に降りてきて、代表におけるメッシを覚醒させたというミラクルが起きたわけではない。そこには、メッシがバルセロナと同様のプレーを発揮できるよう、サベーラ監督による地道で的確なチーム作りがあった。しかも、限られた時間の中で、だ。

 予選の直前に監督に就任したサベーラは、試合を通してメッシを最大限に活用するシステムを見出していった。コロンビア戦で圧倒的な破壊力を見せ、続くエクアドル戦では全員が1ゴールずつ決めて完勝の立役者となったメッシ、ゴンサロ・イグアイン、アグエロによる3トップにアンヘル・ディ・マリアという態勢を、攻撃のベスト布陣に定着。

 そこにボールを絶え間なく供給する大役にフェルナンド・ガゴを抜擢し、ボランチのハビエル・マスチェラーノをDFラインの一歩手前まで下げることで、それまで不安定だった中盤に攻守のバランスをもたらした。

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