フォーメーションのトレンドとその特徴
現在流行している主なフォーメーションは4-2-3-1、4-1-2-3、4-1-4-1、3-4-2-1、3-1-4-2といったところだ。
4-2-3-1全盛のなかでひときわ目立つのが3-1-4-2を採用するユベントスの存在である。欧州戦では結果を残せていないものの、イタリア国内では無双。二連覇を果たしたあとの今季もリーグ戦を独走中(第16節終了現在、以下の成績も同様)で、失点は2位とローマに次ぐ少なさである。個人能力の高い長身ディフェンダーが3人揃っているからこそできる守り方だが、攻撃面での特徴にも注目したい。
この3バックとキープ力の高いアンカーによるビルドアップ、両ウイングバックの大外への開き、2トップの潰れやマークから離れる動きで相手の陣形を崩し、2枚のインサイドハーフが上がっていく攻め方で、得点は5位のインテルの36にあと1と迫る35だ。守備優先に見えて、実は攻防一体の印象も強い。
そもそもの話だが、フォーメーションとは可変するものだ。4-2-3-1のチームが相手ボールになった際には4-4-2のスリーラインでブロックをつくり、3-4-2-1のチームが相手ボール時に5-4-1に変形するのを、われわれは何度となく目撃しているはずである。マイボールのときはこう、相手ボールのときはこう、という動きの約束事や役割分担があって(だからシステムとも呼ばれる)はじめて機能するのがフォーメーションなのである。
攻守両面でもっとも安定しているのは4-2-3-1だろう。なぜ4-2-3-1が受け入れられているかは、ひと昔前の4-4-2か3-5-2か、という議論のつづきを考えればよくわかる。
4-4-2だとDFラインが横幅をカバーできるかわりにトップ下がなくなり中盤の密度が薄くなる。3-5-2だと中盤が厚くなりトップ下も埋まるが、3バックの両脇と両ウイングバックの後方にスペースができる。一長一短の両者の欠点を埋めるフォーメーションがまさに現在のトレンドである4-2-3-1なのだ。
4バックが最終ラインを右から左まで埋め、5バックにならないと対応できないときは、中盤からひとりが下がればOK。中盤も5人いて厚みが保たれる。
その対価としてFWが1トップになってしまうが、攻撃の際には両サイドハーフが前進して3トップになることで突破力が保たれ、守備ではFWとトップ下が横並びの2トップを形成、4-4-2の三列で隙間なく守って守備力を保つ。この先、何かしらルールが変わらないかぎりは、使いやすいフォーメーションの代表格でありつづけるのではないだろうか。