ロナウド以外のウィングはインパクト不足か
イブラヒモビッチを擁するスウェーデン代表との壮絶なプレーオフを制し、4大会連続6回目のW杯出場を果たしたポルトガル。29歳で大会を迎えるクリスティアーノ・ロナウドにとってキャリアの中でも最も光り輝くべき瞬間だが、彼1人でサッカーをするわけではない。
ネックとなっているのはチーム状態が必ずしも上向きになっていないことだ。主力の中で他にキャリアの上り坂にあるのはジョアン・モウチーニョぐらい。
伝統的に人材難のセンターFWはポスチガが予選で6得点と結果は残したものの、明らかな格下のいない本大会での信頼には疑問符が付く。トルコでようやくパフォーマンスが安定した巨漢FWのウーゴ・アウメイダに命運を託すプランもあるが、五十歩百歩の感は否めない。
それでもロナウドの1トップ論が浮上しないのは、ベント監督がサイドアタックを明確なコンセプトにしているから。サイドの高い位置に起点を作り、相手の守備を広げてバイタルエリアにスペースを作るスタイルだ。そのためには大エースの左サイドにおける躍動が不可欠なのだ。
本来ならば右のナニも攻撃の主翼を担う存在だ。しかし、近年はマンチェスター・ユナイテッドでの出場時間が減少し、12月にはハムストリングの負傷で離脱を強いられた。27歳にして持ち前の個人技に陰りが出ているのは嘆かわしい事実だ。
他にもバレラ、ビエイリーニャ、ダニーといった実力者はいるものの、ベント監督がウィングに求める個のパンチ力には欠ける。となればガラタサライで急成長中の19歳ブルーマを抜擢することも指揮官は視野に入れているのではないか。スピードの絶対値は非常に高く、爆発すればロナウドと並ぶポルトガル躍進の原動力になりうる。