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クリロナらもクリスマスに2000個のプレゼント。サッカー選手が慈善活動を行う意義とは?

text by 山本美智子 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

日本には伝わることが少ない他愛のないニュース

 世の中には、両親からプレゼントがもらえない子どももいる。そういった美談をメディアも取り上げるのだが、なかなか国境を越えてその手のニュースが届くことはない。人々が求めているのは、刺激的なニュースであり、勝った負けたというドラマであり、選手達が病院を訪ねて今年も、子供たちにプレゼントをあげました、という心温まる話ではないからだ。

 私は毎年、繰り返されるこの他愛のないニュースが好きだ。世の中には、生まれた時からほとんど病院から出ることがなく、テレビ以外に楽しみを得られない子供たちがいる。いつか、走れるようになりたいと憧れの目で選手達を見ている子ども達がいる。いつ、その命が尽きるかわからないまま、毎日を笑顔で過ごしている子どもたちもいる。

 3年前に福島で悲劇が起きた時、国内でサッカー雑誌が売れたと関係者が複雑な表情で話してくれたことがあった。外に出て遊ぶことができない子どもたちは、震災を忘れさせてくれるような夢ある情報を求め、それがサッカー雑誌の売れ行きにつながったのだという。異なる世界で過ごしているアスリートの選手達は、一瞬でも辛さを和らげてくれるヒーローの役割を果たしてくれたのだろう。

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