代表引退を撤回したエトー
開催国にして優勝候補のブラジル、さらにクロアチア、メキシコとハイレベルな組に入ったカメルーン。グループリーグ突破は厳しいと言わざるをえないが、躍進するポテンシャルは十分に備えている。
元浦和レッズの監督としても知られるフィンケは1FCケルンのスポーツディレクターを務めたあと、13年の5月に就任。10年W杯で3連敗して以降、泣かず飛ばずだったカメルーンを“不屈のライオン”へと復活させた。
センターバックのヌクルを軸としたコンパクトな守備を整備しながら、浦和時代にも掲げていたショートパス主体の攻撃を植え付けた。一見してカメルーンらしくないが、局面の身体能力や個の打開力は存分に活かされている。難敵チュニジアを相手に4−1と完勝した3次予選の第2レグは組織としても個人としても彼らの持ち味を発揮した試合だ。
そのチュニジア戦では左ウィングのポジションから幅広くチャンスを作り、フィニッシュに絡んだエトーだが、一時はボーナスの未払い問題に業を煮やし、さらにフィンケ監督とも選手の起用をめぐって確執が取りざたされるなどトラブルが重なり、チュニジア戦を前に代表引退の意向を示したことが報じられた。
しかし、ビア大統領が代理人を通じて懇願したことにより撤回。「W杯出場に全力を尽くしたい」と発言し、有言実行の働きをしたわけだ。本大会に向けてもエトーを中心に最高の準備をして本大会に入っていけるかは未知数だが、33歳になる彼に頼り切っていても、この厳しい組を勝ち抜くことはできない。