現役最後の試合で劇的な残留
試合が始まると、ぼくはサントスのプレーに圧倒された。ドリブル、ワン・ツー、ヒールパス、フェイント。少年たちが自分たちの技を競うかのように軽々とプレーしていた。ガンソはホッキ・ジュニオールを翻弄し、途中交代に追い込んだ。ジュニーニョもかつての輝きはなかった。試合が終わってみると9対1という大差だった。
「あの試合を観たのかい? ひどい試合だったね」
ジュニーニョは恥ずかしそうな顔で頭を掻いた。
イトゥアーノは指一本で一部リーグに引っかかっているような状態だった。
4月7日の最終節、イトゥアーノが一部残留するにはポルトゲーザ戦で引き分け以上の成績が必要だった。
しかし、前半を終わって0対2と先行された。後半、ジュニーニョが素晴らしいゴールを上げて1点を返し、イトゥアーノは息を吹き返した。試合が終わってみると3対2の勝利だった。
イトゥアーノは残留、会長ジュニーニョはまず一つの仕事を成し遂げた。この試合がジュニーニョの現役最後の試合となった。
【次週に続く】