本田を待ち受ける過酷で不安定な状況
その新時代を生き抜いていくにあたり、バルバラ氏は改革の手を緩めないだろう。これまでミラネッロの練習は完全非公開だったが、本田が加入する1月以降、一部を公開にする案や、今まで試合前日のみだった会見も、今後は監督だけでなく、毎日一人ひとりの選手に話す機会を与える案なども浮上している。
これらの構想が本当に1月から実現するとは思えないが、ミランはインターナショナルで、新しいジェネレーションのサッカーチームに生まれ変わろうとしているのだ。
その過渡期に本田という日本人選手が伝統ある「10」の背番号を担う。ただでさえ、世界中の注目を浴びるビッククラブには大きな重圧が生じるのに、このようなチーム事情をみれば、本田を取り巻く環境がいかに不安定で、過酷な状況かが分かるだろう。
成績が上向かなければ、強化の責任者が代わるかもしれない。あるいはマーケティング戦略の一環として、これまでとは違った練習環境となる可能性もある。一つひとつの事象が本田に与える影響は決して少なくない。
現に28年もクラブに携わったブライダ強化部長が去り、15年までベローナと契約を残すショーン・ソリアーノ氏がフロント入りするという情報も出始めている。
ただ、それでも結果を残さなければ、27歳の日本人に未来はない。それはこれまでの日本人選手が経験したどの環境よりも過酷なものだ。しかし、逆にこの苦境で結果を残すことができれば、110年を超える歴史を誇る名門にその名を深く刻めるに違いない。
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