ギリギリで掴んだW杯切符
そして9月、ホームゲームでホンジュラスにまさかの敗北を喫し、いよいよ危機感が募ることとなる。W杯予選のホームゲームで敗れたのはこれが史上2回目という“大事件”だったにもかかわらず、デ・ラ・トーレは「プロジェクトはうまく言っている」とコメントして人々の怒りを買うことに。サッカー連盟側もさすがに擁護しきれなくなって監督交代に踏み切ったのだった。
後任にテナが内部昇格して予選最終盤戦に挑んだものの、アメリカとのアウェイゲームで完封負けを喫し、テナはわずか1試合で解任。前モンテレイ監督のビクトル・ブセティッチを招聘し、残り2試合を1勝1敗で乗り切って何とか大陸間プレーオフに滑り込んだものの、直後にブセティッチも解任され、クラブ・アメリカのミゲル・エレーラが兼任監督に就任する。
エレーラは移動やコンディショニングを考慮して国内組だけでチームを構成して大陸間プレーオフに挑み、ニュージーランドとの実力差が大きかったこともあって無事に本大会出場権を獲得した。しかしかつてないほどの混乱に陥ったため、本来なら予選の最中に熟成させるべきチーム戦術の浸透、戦力の見極めは滞ったままだ。
12月3日にエレーラがW杯まで指揮を執ることが正式に決まり、これから急ピッチでチームを作り上げていくことになる。ただ、監督が次々に変わる中でもジオバニ・ドス・サントスやハビエル・エルナンデス、アンドレス・グアルダードといった海外組を中心に据えるチーム編成は不変だったため、エレーラも恐らく同じ路線を踏襲するはずだ。
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