日本戦がきっかけでスタイル変更も
オランダにとっては消化試合でも、対戦時の両国は共に2位に着けており、プレイオフ進出に向けて燃えていた。気を抜けば、オランダはあっさり負けていただろう。しかし、オランダは全力で勝ちに行き、ハンガリーを何と8-1で粉砕し、『地獄』として知られるイスタンブールでのアウェーゲームでは試合巧者ぶりを発揮して2-0でしっかり勝った。
この2試合、彼らのモチベーションが高くキープ出来たのは、「ファン・ペルシ、ロベン、ストロートマン以外、ブラジル行きのメンバーは誰も決まってない」と公言していたファン・ハール監督が「ブラジルに行きたいのなら、しっかりハンガリー戦、トルコ戦も戦って実力を見せつけろ」と動機付けを行ったから。
1試合ずつ出場機会を与えられたベテランMFのファン・デル・ファールトとスナイデルも必死の形相で「自分は好調なんだ」とアピールした。
しかし、11月の日本戦(2-2)ではロベンやファン・デル・ファールトの攻撃力こそ見事だったが、後半に入ると守備の弱点が表れて、「日本戦のオランダは、ドイツ、イタリア、ポルトガルとの親善試合(いずれも引き分け)よりも押し込まれてしまった」とオランダ人記者が振り返ったほどの悪い試合をしてしまった。
もしかすると日本戦の反省によって、ファン・ハール監督は引き気味のサッカーにオランダを作り直すことも検討するかもしれない。事実、チーム立ち上げ時のオランダは自陣でしっかりブロックを作って、カウンターを狙うサッカーをしていた。
このサッカーをファン・ハール監督は決してカウンターとは呼ばず、『プロボケーション(挑発的な)・プレッシング・サッカー』と名付けていた。
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