メンバーを固定化しない選手起用
欧州予選のファン・ハール監督は非常にユニークなチーム作りをした。ローテーションシステムは、その最たるもの。GKはなるべくひとりに任せるのがセオリーだが、今予選の10試合でファン・ハール監督はクルル、ステーケレンブルフ、フェルメール、フォルム、シレセンと実に5人ものGKを抜擢した。
戦術の要となるセンターハーフのポジションもクラーシー、ナイジェル・デ・ヨン、デ・グズマン、スハールスと目まぐるしくメンバーが変わった。
この背景にあるのは、予選が始まる前からファン・ハール監督が「ブラジルW杯は移動距離の長さ、気候の違いの激しさからコンディショニング勝負の大会となる」と見越し、「所属チームで出場機会を失った選手や負傷気味の選手を、私はオランダ代表に呼ばない」と宣言したことにある。
ファン・ハール率いるオランダがチームを立ち上げた時のキャプテンはスナイデルだったが、インテルやガラタサライで出場機会を減らすと、代表に呼ばれる事も少なくなり、キャプテンの座もファン・ペルシに明け渡してしまった。
メンバーを固定して連携を深めることより、体調の整った選手を揃えて戦う事を選んだファン・ハール監督のもと、オランダは9勝1分けという見事な成績でW杯予選突破欧州一番乗りを果たした。しかし、彼らが圧巻だったのは消化試合となった10月のハンガリー戦、トルコ戦だった。
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