悪しき流れを断ち切ったザッケローニ監督の大胆な選手起用
これまでの事例を長々と書いてしまったが、来年のブラジル大会において、日本代表は過去最高位となるベスト8以上を期待されている。23人全員の心技体が結集された総力戦が求められるだけに、過去の相関関係が物語っているように、今回も「ベテラン枠」を設けたほうがプラスに作用するのではないか。
年が明ければそうした議論が間違いなく沸きあがるはずだが、本大会まで「現状」が継続されるのであれば、無理をしてまで枠をひとつ潰す必要はないと私は考えている。
ここで言う「現状」とは、FIFAランク9位のオランダ代表と引き分け、同5位のベルギー代表に逆転勝利を収めた11月のヨーロッパ遠征における、アルベルト・ザッケローニ監督の選手起用法に他ならない。
どれほど批判されても頑なに先発メンバーを固定してきたザッケローニ監督だったが、オランダ戦は一気に4人を入れ替え、中2日で行われたベルギー戦ではオランダ戦からさらに6人が違う顔ぶれとなった。
セルビア、ベラルーシ両代表相手にともに無得点で連敗した10月の東ヨーロッパ遠征における覇気のない戦いぶりを真剣に受け止めて、何かしらの変化や刺激が必要だと判断したのだろう。
実際、10月までの悪しき流れが来年まで継続されるようならば、本大会での「ベテラン枠」うんぬんの前に、指揮官そのものを更迭する荒療治が必要となったはずだ。
話はオランダ戦に戻るが、いわゆる「テッパン」組とされてきたMF遠藤保仁(ガンバ大阪)、FW香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)、GK川島永嗣(スタンダール)がベンチスタートとなったことは、特に出場機会に飢えていたサブ組にいい意味での衝撃を与えたはずだ。
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