グループ突破は「義務、使命」
大国のプライド、とも言えるのかもしれない。
12月13日のことである。2部リーグの1.FCケルン対ディナモ・ドレスデンの試合の取材に出掛けた。スタジアムに向かうために、ケルン中央駅の地下鉄のホームに佇んでいると、線路の向こうにある大型スクリーンにニュースが次々と映し出されていく。
そしてドイツ代表のブラジルでのキャンプ地のものが目に見えた。しかし、同じホームで佇む1.FCケルンの赤いマフラーを首に巻いた人たちは、これといった反応は示さなかった。
12月6日にブラジルはサルバドールにて行われた翌年に控えたW杯の組み合わせ抽選で、ドイツはポルトガル、ガーナ、アメリカと同居するグループGに入った。
抽選会直後の最新号である2013年12月9日付のKicker誌を購入すると(同誌は毎週月曜と木曜に発売である)、「W杯2014 タイトルの夢」と題された付録が挟み込まれていた。中身は抽選会の様子から、各グループの展望、各試合会場の紹介と、ちょっとしたW杯特集といったところだ。
もちろん一番ページが割かれたのはグループGに入ったドイツ代表の展望のもので、「Vier gegen Deutschland」と題された記事が掲載されている。タイトルを直訳すると、「ドイツに対する4」となる。グループ内で対戦するのは3ヵ国なのだが、「4」とはどういうことなのか。
そしてグループGを赤字で「Pflichtaufgabe」とする。グループ突破は、義務、使命である、といったところである。加えて「unsichtbare」=「目に見えない」リスクが待ち伏せしてはいるが、という文言が付け加えられている。