サッカーは紳士のスポーツ
こうしたことを踏まえれば、サッカーは紳士のスポーツであり、紳士たるもの卑怯な手段を用いてはならないという信条が、オフサイドルールの根底に流れていることがうかがえる。そうした考え方を理解すれば、オフサイドが成立する状況がより分かりやすくなりはしないだろうか。
オフサイドが成立するのは、「味方競技者によってボールが触れられた時点」で、選手が「相手陣内」で「ボールよりも前(攻撃方向)」かつ「相手の後ろから2番目の選手よりゴールラインに近い場所」、すなわちオフサイドポジションにいる時に、ボールや相手選手に干渉する、あるいはそのポジションにいることによって「利益を得る」場合に限られる。オフサイドポジションにいても上記のようにプレーに干渉することがなければ、またスローインなど限られた状況からはオフサイドは成立しない。
と、ここまでがベースとなる条件なのだが、厄介なのが「オフサイドポジションにいることによって利益を得る」という条項の解釈。これに関して、2013/2014の競技規則の改正によってルールの変更が生じている。
これまで、ゴールポストやクロスバーからはね返ってきたボールをプレーすること、または相手競技者からはね返ってきたボールをプレーすることが、「利益を得る」と考えられていたのだが、今回の改正で「相手競技者が意図的にプレーした(意図的なセーブは除く)ボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者が受けたとしても、その位置にいることによって利益を得たとは判断しない」という文章が新たに加えられた。
従来の文言では幅があった解釈をより狭めて分かりやすくするのが狙いで、この改正によって「今までならオフサイドだったプレー」が「オフサイドではない」と解釈されるケースが生じる。
しかし解釈やそのルールの適用については、実際のところその多くが主審の判断に委ねられているのが実情。この規定に関しても、プレーの1つ1つで、または主審と副審のチームによっては解釈が違ってくることもあるだろう。
そうしたことも含めて、試合を見ながらピッチでのプレーやレフリーの判定について自分なりの思考を巡らせるのも、サッカーの見方の1つではある。オフサイドの判定に重要な役割を担う、副審の動きとフラッグにも注目してもらいたい。
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