「数字を残さないとプロのスカウトからは見向きもされない」
身を焦がすようなピッチに立つことは、ひょっとするとプロになることと同じくらい重要なのかもしれない。プロとなると仕事だからそれだけではないのだが、サッカー選手の本能が渇望してやまない。
あの日々の記憶の断片が、へこたれそうになる相馬を支え、前を向かせている。そして、いざその機会が訪れれば、期待に応える自信があるのだ。おれはサッカー選手だと全身で感じ、再び喝采を浴びる自信が。
大木もまた、東京ヴェルディユースの2010年をこう振り返る。
「あの年は何から何まで全部が楽しかった。練習前のボール回しから、ずっと笑っていたような気がします。毎日、試合や練習が待ち遠しくて、たまらなかった」
最後、相馬はこう決意を語った。
「法政は2部ですから、数字を残さないとプロのスカウトからは見向きもされない。まずは試合に出る。出続ける。チームのベクトルをひとつの方向に向け、必ず1部に上げて、自分も結果を残します」
ふたりは、結果がどうあれ、すべて自分で責任を取る覚悟がある。来たる2014年、命運を決するシーズンを見届けるとしよう。
(文中敬称略)
【了】