「動き出しは、やっぱりこのタイミングでいいんだ」
3年間、雌伏の時を過ごした選手がいる。相馬将夏(法政大3年)。名は、マサカと読む。11月29日、僕は法政大の多摩キャンパスを訪ねた。
「関東大学サッカー連盟の公式サイトを覗いて、同期の動きはちょくちょく確認していました。周りの活躍は刺激になります。腐っていられないぞと」
リーグ戦の出場数はゼロ。今年の総理大臣杯の予選と本大会で、それぞれ1試合ずつ出場している。これが表向きに示される相馬の実績のすべてだ。
「みんなが試合に出て、自分は出られていない。認めたくなかったですけど、それが自分の実力ですから。イライラしたり、焦りもありました。先のことを考えず、その日の練習に集中する。そうすれば悪いことは待っていないだろうと信じて、1日を大事に使おうと心掛けました」
進歩がないわけではない。今年はケガに泣かされることもなく、1年間プレーできた。大学対抗Jr.リーグ(主にサブ以下のメンバーが出場する)では、得点王とアシスト王を獲得した。
「実績としては大きく扱えないですが、結果が出たのは少しは報われたかな。結果が表れないと、しんどいんですよ。このやり方で正しいのか、疑わしくなってしまうので」
その点では、今夏、大木や渋谷らとともに東京ヴェルディの練習に召集されたのは有意義な体験だったようだ。
「率直に楽しかったです。プロの基準を思い出させてもらえました。動き出しは、やっぱりこのタイミングでいいんだ。もっと早く動いてもいいくらいだ。常に頭がフル回転していないとついていけない。そういった経験ができたのは、僕にとって大きなプラスでした」