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数字が示した“恵まれている”グループC。日本がブラジルW杯でベスト8を目指すべき理由

text by 森昌利 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

言い訳を用意して勝てるわけがない

 前回の南アでは決勝トーナメント初戦でパラグアイとPK戦までもつれこみ、そこで惜しくも負けて、夢のようなスペインとの準々決勝を逃した。今回はぜひとも、日本が世界最強戦の準々決勝で、真の強国とあいまみえるところが見たい。

 またそういう舞台を経験することでしか、日本の進化はありえない。

 僕の在英生活も足掛け18年を数えるが、1966年の優勝を経験するイングランドで、国民は常に優勝を意識している。もちろんグループDのDが文字通り“Death”の頭文字となり『死の組』を引き当てた今回でも、確率に歯向かうように、サッカーの母国のサポーター達は、イングランドの優勝の可能性を信じている。

 無論、今回本命のブラジル、アルゼンチン、ドイツ、スペインのサポーターはより現実的に優勝を意識しているだろう。オッズ的には下がったが、イタリア、フランス、オランダ、ウルグアイという優勝経験国に加え、オランダ、ポルトガルといったところも虎視眈々と優勝を見据えているに違いない。

 そんな中、「予選突破ができるか」というような意識で大会に臨んでも、それこそサッカー2流国の証明ではないか。「そんな簡単なグループではない」「力の差がないC組も死の組」といった意見もあるが、そんな言い訳をはじめから用意していたら、勝てるものも勝てなくなってしまう。

 僕は抽選に恵まれた今回、日本のサポーターにはあえて、“展開によっては1位通過もあり、ベスト8も狙える”という意識でW杯に臨んで欲しいと思う。

 もうすでに日本はベスト16入りを2度果たしている。なぜその上を望んではいけないのだ。

 もちろん国中が大きな期待を膨らますことで、チームに重圧はかかる。期待を裏切れば嵐のような批判が巻き起こる。しかし真の強豪国は、常にそうした重圧の中で戦っている。

 かつて、身体能力に恵まれた選手が次々と現れ、アフリカの世界制覇が囁かれた時代があった。今度は、アジア王者の日本がそうした存在になるべきだ。

 近い将来に世界を制覇する正確無比なスキルと信じがたい統率を見せる組織力。そんなアジアの可能性を2014年のブラジルで見せる。

 それが日本代表の使命ではないだろうか。

【了】

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