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前回大会の雪辱に燃えるイタリア。攻撃的なアズーリは“死の組”で通用するか?

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

プランデッリ監督による戦術転換

前回大会の雪辱に燃えるイタリア。攻撃的なアズーリは“死の組”で通用するか?
イタリア基本フォーメーション

「次世代へと切り替える。海外から“イタリア人的”と呼ばれるようなメンタリティーから脱却しなければならない」

 2010年7月、イタリアサッカー連盟(FIGC)のデメトリオ・アルベルティーニ副会長は、強化方針の大改革に出た。組織を再編し、年代別代表から攻撃的なサッカーを作り上げる。

 そして頂点となるフル代表の監督に、パルマやフィオレンティーナで実績を挙げていたチェーザレ・プランデッリを招聘したのだ。評価されていたのは育成の手腕だ。若手の潜在能力を引き出し、繊細なパスワークと組織守備を作り上げる仕事ぶりで定評を確立していた。

 そしてプランデッリは、「“クアリタ”を重視する」というコンセプトを掲げてチーム作りを行った。イタリア語で「質」、すなわち「クオリティ」を意味する言葉だが、この場合はパスやボールコントロールなど、技術を用いて局面を打開する力量や、タレント性のことをいう。具体的に言えば、スペイン代表をモデルとし、ポゼッションサッカーへの転換を図ったのだ。

 これはうまくいった。もともと基本技術の高かったイタリア代表の選手たちは、この戦術により飛躍的に姿を変えたのだ。EURO2012予選ではスタートダッシュに成功し、本大会に入っても今までのイメージを塗り替える攻撃的なパスサッカーを展開。

 決勝こそ0-4でスペインに敗れたものの、イングランドやドイツを破っての準優勝は見事なものだった。

 チームはこれで一つの完成を見るが、プランデッリ監督はブラジルW杯を見据えてなおも育成を続けた。予選中も、選手のコンディションに留意しながら様々にフォーメーションを変え、また新戦力も積極的に起用。

 それでいて、ちゃんと結果も出したのだから恐れ入る。欧州予選は最後に成績が伸びず、スイスに先を越され第一ポッドに入り損ねるが、それでもグループは一位通過だ。また「若手に経験を積ませる場(プランデッリ)」と位置づけて臨んだ6月のコンフェデ杯でも最終的に3位でフィニッシュし、世代交代を進めながら一定の結果も出すという、相反する要素をこなしている。

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