戦術を体現するトレーニングと人材で成し得た「4年間の集大成」
2009年熊本時代以来、4年ぶりに北野監督とタッグを組んだ上村ヘッドコーチは、3年間のアカデミー指導経験も踏まえ、剛柔交えながら北野イズムの浸透に務めた。
「コミュニケーションを取る上で、まず話したのは『このチームと契約した以上、チームのために尽くすのが当たり前』ということ。最初はゲームの理解度、相手に対する試合中の情報収集度の低さを感じたんですが、北野さんがゲーム中に起こりうる状況をトレーニングでいれてくれていたので、それを整理して伝えることを心がけました。
だから、この2試合も一年間取り組んできたスペースの作り方・使い方をどうやって個人やグループで取り組むかなど、特別なことをすることなく、今まで培ったことを出せたと思います」
だからこそ後半に入り、54分に右SB藤田浩平が警告2枚で退場。10人になっても彼らは慌てることはなかった。上村コーチの話を続けよう。
「相手のある要素が変わったら難しい部分はありましたが、そこも変えてこなかったので整理してゲームはできました。でも、あのオッサン(北野監督)面白いんですよ。そんな中でも『カウンター打てないかな。もう1点取れないかな』と言ってるんですから(笑)」
対する指揮官も試合後「全てコイツのお陰です」と言って上村コーチの肩を叩ける熱き信頼関係。こうして最高のタッグチームは、結果を求められる舞台で4年間の集大成を出し切った。
【次ページ】昇格を果たしたが経営面の課題は残る