今、日本で指導して感じるブラジルで得たもの
帰国直後の2002年にヴィッセル神戸でプレー、2006年から古巣のヴェルディに戻った。2011年まで現役を続け、昨年からヴェルディ下部組織のコーチを務めている。
ふと、自分はブラジルで何を学んだのだろうと振り返ることがある。
ほんの短期間のブラジル滞在だった。サッカーの技術が上がったとは言えない。自分が得たのは、ピッチ以外のことが大きかった。ブラジル人の感情表現の豊かさ、そして仲間を思いやる心――。
日本に戻ってもその繋がりは続いている。
神戸時代、休暇を利用してスペインを訪れた。マルコス・アスンソンがレアル・ベティスでプレーしていたのだ。アスンソンはサントスにいた時と同じように暖かく菅原を迎えてくれた、彼のセビリアの豪邸に泊まり、街を案内してもらった。
今、ヴェルディの子どもたちを見ていて、変わったと思うことがある。それは子どもたちが食事の時間を楽しみにしていないことだ。それどころか、みんなと食事をする時間が憂鬱だとまで言い切る子どもさえいる。そして、みな食が細い。
菅原はアスリートとして成功するには食べることが大切なことを説いている。そんな菅原を不思議そうに聞いている子どもたちを見ると、サントスの寮の食堂で食べ物が山盛りとなった皿が頭に浮かんでくる。
そして、ブラジル人の逞しさを自分の肌で感じたことはつくづく自分の財産になっていると思うのだ。
【了】
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