痛みを抱えながら強行出場したがゆえの絶不調
険しい表情で敗因を述べ続けている中村憲剛の姿あった。チームの顔である中村は数多くの記者に取り囲まれて、近づけないほどの人垣ができていた。悲壮感すら漂わせながら彼が語っていた言葉は多くのメディアに掲載されている。
その記事の多くはチームの現状に関する危機感に関するもので、なかには前年に降格したガンバ大阪よりも第6節終了時での勝ち点が少ないことを指摘する内容もあったほどだ。
このときのことを中村本人はこう振り返っている。
「なんでこんなに囲まれているんだろう? と思いながら話してました。でも、それだけ不幸に見えたんだろうね。あの試合を見ていたらそう思うだろうし……あのときは、あれ以上ないぐらいのどん底だったと思う。チームとしても、個人としても」
中村本人も認めるように、自身のパフォーマンスも本来の出来とはほど遠いものだった。左内転筋の痛みを抱えながら強行出場していたがゆえの絶不調だったが、彼はそれを公表せずにプレーし続けていた。「ピッチに立つ以上、それは言い訳にならない」というのが彼のポリシーでもあり、キャプテンである自分がここで逃げるわけにはいかなかったからだ。
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