モイーズ監督は香川をこの試合起用すべきだったか
中央で輝けなかった香川は、しぼってくる左ウイングのダニー・ウェルベックに押し出されるように、左サイドでのプレーが増える。30分を過ぎるころには、香川のトップ下+ウェイン・ルーニーのワントップで構成する4-2-3-1から、ウェルベックとルーニーの2トップという形の4-4-2にシステムを変更。攻撃の方向性も、ロングボールや強引なクロス中心に変わっていく。
特に右サイドのバレンシアは縦への推進力で好調をアピール。トッテナム左サイドバックのヤン・フェルトンゲンを困惑させ続けた。
ただし、この英国的なサイドアタック中心のサッカーだと、香川は輝けないない。守備で奮闘していたため、足を引っ張ることこそなかったが、起用の必要性も感じなかった。
はっきり言うと、良いパスが供給できない中盤選手を起用し、強引なサイドアタックを仕掛けるなら、時折ワールドクラスのプレーでサプライズを提供してくれる、ナニを起用しておくべきだった。その意味では、香川のトッテナム戦での起用はデイヴィッド・モイーズ監督のミスとも言える。
しかし、このメンバーで香川が機能しない可能性があったのは、モイーズ監督も百も承知のはず。それでも起用したということは、香川に対する期待が大きかったことを意味するのかもしれない。
いずれにせよ、モイーズ監督の実験は失敗に終わった。あらためて、「パスの出し手がいないチームに香川を投入しても、特に化学反応は起きない」という実験結果がでてしまった。
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