木島良輔が闘いの意志を讃岐に刻む
サポーター達は、必死の形相で応援しているという風情ではなかった。一方で、ピッチの上を鬼の形相で駆け回る選手がいた。カマタマーレ讃岐のFW木島良輔だ。15得点を挙げ、JFLの得点ランキングで2位につける讃岐のエースプレイヤーだ。
木島は、試合を通じて最終ラインと駆け引きを続け、ボールが自分の元に渡ると果敢にドリブルで仕掛けていった。その結果、後半47分には木島の突破からのパスを高橋泰が決めて1点を奪った。しかし、直後には失点を喫し、スコアは1-1となる。その後も木島を中心に猛攻を続けたが、そのまま引き分けで試合を終えた。
試合終了の笛が鳴った時、木島は仰向けにピッチに倒れ込み、そのまましばらく動かなかった。しばらくすると立ち上がりはしたが、全身のエネルギーを使い果たしたかのようにフラフラとしていた。その後、サポーターの待つバックスタンドまで挨拶に来たのだが、その時の表情が非常に印象的だった。木島は苦悶の表情を浮かべていた。勝ちきれなかったことへの悔しさが全身から滲み出ているようだった。
挨拶をするカマタマーレ讃岐の選手に対して、サポーター達は大きな拍手を送った。彼らの目にも、木島の苦悶の表情は見えていたことだろう。
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