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サッカー番記者はなぜ監督を強く批判できないのか?

text by 海江田哲朗 photo by Asuka Kudo / Football Channel

逃げ道をつくらず言い切ってナンボ

 2012年、川勝体制勝負の3年目。第20節のジェフ千葉との首位攻防戦を制し、東京Vはトップに躍り出た。練習後の囲み取材で「ちょっと監督、展開的に首位に立つのが早すぎませんか?」なんて、ヤクザも真っ青なイチャモンをつけても、川勝氏はおおらかに笑っていた。

 私は、あとになって余計なことを言わなければよかったと悔やんだ。シーズン中盤、東京Vの勢いは陰り、第32節のFC岐阜戦の敗戦を受けて川勝氏は更迭されている。こういうときだけ予感が当たるのだから、自分には本当にがっかりする。そのシーズンの東京Vは最終的にプレーオフ出場も逃し、7位で終わった。

 結局、ああしてもダメ、こうしてもダメで気分が暗くなるが、ライターは試行錯誤しながら書き続けていくしかない。言い切ってナンボの仕事であり、「~だろう」「~ではないか」で逃げ道をつくるのは愚の骨頂。どっちにも取れるような書き方しかできないのであれば、真剣勝負の場で生きる監督と向き合う資格を失う。

 メディアが監督を遠慮なく批評できるのは、クラブの状態が良好な証である。バックアップの態勢が充分と認められなければ、おいそれとは責任を追及できない。また、批判的な意見がちょいちょい出るのは、組織が健全に機能している証拠でもある。余裕のないクラブほど、締め付けに躍起になる。

 監督は自らのサッカー観を信じ、戦う人種だ。私が言うことではないけども、周りからやいのやいの言われたくらいで、やり方を変える監督なんてサイテーだと思う。黙って見ていろと言い放つくらいの頑固さがなければ、こちらも身を削って書く甲斐がない。

【了】

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