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サッカー番記者はなぜ監督を強く批判できないのか?

text by 海江田哲朗 photo by Asuka Kudo / Football Channel

やりづらい登録フリーランスという制度

 批判的な論調の記事を書いた際は、「あいつはうちで食っているくせに」といった陰口が漏れ伝わってくる。ずいぶんセコい考えがあったものだが、そりゃそうだよなとも思った。Jリーグに推薦している側からすれば立場がない。特に監督はクラブの看板だ。それを爪で引っ掻かれれば、ほかの人だって神経を尖らせる。

 07年シーズンの終了後、そろそろ限界だと感じた私は「やりづらくてかないません」とJリーグに相談を持ちかけている。当時の広報部長が事情を察してくれ、クラブの推薦を不要としてくれた。おかげで、仕事が大変やりやすくなった。

 現在、登録フリーランスの各クラブの推薦枠は1名に限られ(以前は複数認められていた)、Jリーグ本体の新規登録は受け付けていないという。

 ライターやフォトグラファーの身元や実態を把握するために仕方のない面もあるが、番記者の手足をしばるクラブ推薦は発展的解消に向かうのが望ましい。メディア露出に苦戦するJリーグの現状を鑑みれば、より多くの人々に門戸を開くべきというのが私の考えだ。

 こうして私はライターの仕事を通じ、サッカーの愉しみを深めつつ、自分の弱さを知ることになった。常に是々非々の態度を貫けたわけではない。書くべきタイミングを逸し、ただ静観しているだけだったこともある。

 08年に東京Vの監督を務めた柱谷哲二氏。親会社から出向してきたド素人の強化本部長をいただき、それでも現場で懸命に取り組む姿を見ていると、結果が出ない状況であっても何ら厳しいことを書けなかった。結局、その年の東京Vは17位であえなく2度目のJ2降格が決まった。

 自分の書いたものについては、その都度、読者に喜んでもらえたり、叱られたり、言葉が届いてこその商売だから、いろいろあるのはいいとして、問題は東京Vがどうなったかだ。

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