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バルサは伝統を捨てたのか? 経営面から見る胸スポンサーを導入せざるを得なかった理由

text by 小澤一郎 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

胸スポンサーはカタール航空に変更

 そうした疑惑も浮上する中、2013年3月、バルサはユニフォームの胸スポンサーに関して、2013-14シーズンよりカタール航空のロゴが入ることを発表した。前述の通り、バルサは2016年までカタール財団と1億7000万ユーロ(約189億円)近くのスポンサー契約を結んでいたのだが、3年目からスポンサー名の変更も可能な契約内容となっていた。

 この契約がもたらすインパクトに乗じて、ドーハを拠点とするカタール航空は「カタール-バルセロナ」間の便を他の航空会社の3倍に増便させる計画を立て、世界最大の航空会社を目指す。また、カタール航空のバルセロナ空港の発着便が増加することで、都市レベルでの活性化や中東との密接な関係構築も謳われている。

 一方、ユニフォームから姿を消すカタール財団は、バルセロナの財団と連携して、人間の発展と教育の分野でオフィシャル・ソシオとしてパートナーシップを続けていくことになっている。

 カタール航空との契約締結によりトルコ航空との契約が解消になったが、その他のプレミアムパートナーであるTV3やLa Caixa、Dammとの契約も今年の6月30日で切れる。カタルーニャ自治州の予算削減によりTV3は契約を打ち切る方向で、バルサは新たなスポンサーを探す見込み。

 ただし、大口のスポンサー契約が結ばれた場合は、ユニセフに対する支援の強化も視野に入れているという。紆余曲折を経てバルサのユニフォームの胸スポンサー問題はひとまず落ち着きを見せているが、バルサの経営において今やカタール関連の企業、話題は欠かせない存在となっている。

【了】

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