バルサは中東オイルマネーに買収されたのか?
しかしながら、ユニセフの人道的なスポンサーロゴは長続きしなかった。2010年12月、バルサはカタール財団とユニフォームのスポンサーロゴに関してサインを交わした。その契約の可否について、2011年9月に行われたクラブ総会の採決によって、圧倒的多数の賛成票を得たことで、2016年までカタール財団のロゴがユニフォームに載ることとなった。
その契約により、バルサは5年半の契約で最高1億7100万ユーロ(約192億円)の収入を得ることとなり、2011-12シーズンの決算報告では、クラブ史上最高額の4億9490万ユーロ(約554億円)の収入を記録するだけでなく、一時的に4億ユーロ(約565億円)にまで膨らんでいた負債を僅か2シーズンで3億3500万ユーロ(約375億円)にまで削減した。
しかし、バルサのご意見番、ヨハン・クライフを中心に反対意見も根強くあった。クライフは自身が寄稿する『エル・ペリオディコ』紙のコラムでカタール財団との契約を痛烈に批判している。
「私は金と引き換えにユニフォームに広告を載せることには、断固として反対だ。私が会長であったら、このテーマに関して素晴らしい判断をしてきた歴代の会長や、委員会のような振る舞いをする。5シーズンで毎年3000万ユーロ(約34億円)を得られるという事実は信じられない金額かもしれないが、予算のたった6~7%に過ぎない。バルサはユニセフのロゴをつけるのにいくら払っている? そう、バルサはもらっているのではない。毎年150万ユーロ(約2億円)を支払っているんだ。もしそんなに経営状況が良くないのなら、ユニセフとの契約をやめればいい」
クライフの「ユニフォームを汚す」という見出しのコラムは地元で大きな論争を呼んだものの、サンドロ・ロセイ会長は総会で9割以上の賛成を得たことを理由にカタール財団との契約締結を実行。地元からは「バルサは中東のオイルマネーに買収された」という皮肉も挙がったが、そうした声の背景にはロセイ会長とカタールの密接な関係と疑惑が存在する。