ポジションを徐々に上げた稀な選手
左利きのギャレス・ベイルは、サイドバックからどんどんポジションを上げていった珍しいタイプの選手だ。トッテナムでは左サイドバック、左ウイングを経て、昨シーズンはトップ下を担当した。
2007年にトッテナムに加入した際は、ここまでトップ下で見事に機能する姿は想像しなかっただろう。普通は加齢と共にポジションをディフェンシブに下げていく選手が多いが、ベイルのように歳を経るごとにポジションを上げていく選手は稀有だと言えるだろう。
左サイドバックでプレーしていた際は縦に行くプレーがほとんどで、左ウイングに上がってからも、縦に抜けて左足クロスというパターンが非常に多かった。しかし、それだけではやはり相手にパターンを読まれてしまう。
シチュエーションによっては左サイドから中に切れ込んで行ったり、そこでまたいだり、スルーパスを出したりと、一つひとつプレーの幅を広げていく中で、ポジションも多彩になった。
ベイルの特長はさまざまにあるが、逆サイドからファーポストへ斜めに横切るシュート、いわゆるクロスファイアの軌道で突き刺す左足のシュートが魅力的だ。同じような軌道で何度も決めていく。
キックの精度は相当に高い。2011-2012シーズンのチャンピオンズリーグ、インテル戦では弾丸のクロスファイアを含むハットトリックを達成し、ベイルの名前を世界に轟かせた。
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