「エリア内侵入」の集計でわかること
「エリア内侵入」は筆者の著書『サッカーの見方が180度変わるデータ進化論』(ソル・メディア刊)において、「データの新機軸」という章の中で提案したデータであり、流れの中で相手のペナルティエリア内に侵入してボールを触った回数をカウントしたもの。本書では両者のスタイルの違いに関係なく試合の優勢・劣勢を判定する指標として信頼度が高いことを例証した。
シャルケはこの試合において13回の「エリア内侵入」を記録し、その内の2回がゴール、1回がPKに結び付いた。
一方のシュトゥットガルトも「エリア内侵入」が10回あったが、得点はできなかった。試合を通じた両者の差は3回だが、ここで注目したいのが前半と後半に分けた「エリア内侵入」だ。
シャルケは前半だけで8回の「エリア内侵入」を記録したが、後半は5回だった。逆にシュトゥットガルトは前半が3回に止まったものの、後半は7回と大きく増えた。これは得点経過によって両者の戦い方が大きく変わったことを意味している。
序盤は攻守の切り替わりが激しかったが、その中でシャルケはボアテング、ドラクスラー、ファルファンの3人を起点に鋭く仕掛け、シュトゥットガルトの守備陣に襲いかかった。パスの本数こそ少なかったが、全体がコンパクトに押し上げて攻撃陣を補佐し、厚みのある攻撃でチャンスを作ることに成功した。
【次ページ】クロス、シュートともにゼロだった内田篤人