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香川真司 11年前

守備では貢献し現地評は及第点。トップ下・香川活かせぬマンUのスタイルとサポート不足

text by 内藤秀明 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

ウェルベックとの相性が悪いのはなぜか

 香川がトップ下で機能しなかった理由は、ユナイテッドの出場しているメンバーと香川がまったく噛み合なかったからだ。そして、噛み合わせの悪さを加速させた背景には、トッテナムの高い位置からのプレッシャーが機能していた点も挙げられる。

 組み立ての起点となるマイケル・キャリックは負傷離脱中。レバークーゼン戦で、香川がプレーしやすいリズムを創り出したライアン・ギグスも欠場(連戦できる年齢ではない)。

 ギグスの代わりに入ったトム・クレバリーは、トッテナムのプレミア最高レベルの中盤の守備強度に苦しみ、「十分に創造性を発揮できなかった(スカイ寸評)」。

 香川は下がってボールを引き出そうともしたが、トッテナムは前線プレスも怠らなかった。結果、ユナイテッドの最終ラインも、香川に対して効果的なボールを供給できなかった。

 中盤や最終ラインの選手にジェスチャーで指示を出し、うまくボールが回るようにと香川は苦心していたが、この日のユナイテッドは香川の指示に従う余裕がなかった。ユナイテッドの選手の多くは、組み立て能力が低かったのも明らかだが、トッテナムの前線からの守備が機能していたのも間違いない。

 また、レバークーゼン戦で左ウイングとして先発したナニに代わり、トッテナム戦で先発を飾ったダニー・ウェルベックも香川との相性は悪かった。トップスピードはユナイテッド最高レベルのアスリート型FWであるウェルベックは、左ウイングとして出場した場合、自身のスピードを活かすためにもサイドに開いた状態から、裏に走り込むプレーを意識するべきだ。

 しかし、状況判断が未熟で、度々中央に絞って足下でボールを受けようとし、香川が一番輝くスペースを浸食。バランスを意識した香川は押し出されるように、左サイドに流れてプレーしていた。

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