「会計やお金のやりとりが二つになる。ただ、それ以外のデメリットはない」
――育成・普及を非営利法人化したときの他のメリットは?
「法人税の優遇ですね。育成・普及の事業というのは、スポーツを教えてお金をもらうというもの。非営利法人のスポーツ指導は全額非課税になるんです。法人税は30%ですから、たとえば、育成・普及で1000万円の利益が出たときに、株式会社の形態のままであれば300万円を納税しないといけないところを、非営利法人であれば300万円が戻ってくる。それで指導者一人を雇えてしまうんですよ」
――逆に、育成・普及を非営利法人化したときのデメリットは?
「当然、二つの法人組織になるので会計やお金のやりとりが二つになるということ。ただ、僕から言わせればそれ以外のデメリットはないですね。市民クラブの社長はすぐにでもやりましょう、となるのですが、責任企業のあるクラブは親からの安定供給の仕組みが壊れるのが怖いから二の足を踏む。育成・普及で毎年5000万円も稼いでいたら、じゃあもう支援はしなくてもいいでしょう? と言われかねない。それが怖い」
――クラブが育成・普及を非営利法人化した場合、収入が安定供給される仕組みにはなりうるんですか?
「なりえますね。実際、さいたま市で起こっている動きがあります。今まで育成・普及の非営利法人化はクラブ側の役員に相談するケースが多かったわけですが、サポーターやスポンサーなど後援会側でこの仕組みができないでしょうか、という相談がありました。で、これができるんです」