「経営が賭け事になってはいけない」
「経営の一番大事な話になりますが、経営が賭け事になってはいけないんです。クラブ収入のうち多額をスポンサー収入に頼っているから、勝たないといけない、結果を出さないといけない、じゃないと来年度のスポンサー支援が途切れてしまう、という危機感に苛まされる。
Jリーグが開幕時に掲げた百年構想の理念で言えば、本来は、チケット収入、スポンサー収入、ファンからの会費収入がそれぞれ3割程度、日本の場合はここに少額の分配金が加わるという収支構造が理想的と言えます。
であれば、スポンサーからの収入は3分の1程度になるのだから、勝った、負けた、で左右される額もその程度になる。本来目指すべき理想の収支構造であれば、クラブは地域のファンやサポーターから多額の支援を受けることができる。
ファンは選手たちと触れ合えて、友人ができて、日々の生活でもサッカークラブのコミュニティで繋がりを得られるわけです。それがドイツにもあるフェラインという仕組みであって、勝った、負けた、だけではない、2部にいても3部にいても応援するんだ、というクラブの体質ができる。
クラブを支えているのが地域のファンだからです。そうなるとクラブが経営危機に晒されて、生きるか、死ぬか、という話にはならないんですよ」
【了】
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プロフィール
谷塚哲(やつか・てつ)
1972年埼玉県生まれ。武南高校・順天堂大学とサッカーを続け、社会人は地域リーグでJFL参入を目指す。30歳で現役を引退し、行政書士試験合格。平成17年にスポーツ法務事務所/谷塚行政書士事務所を開業。専門家による専門的なスポーツマネジメント組織の確立を目指し、REGISTA.LLPを立ち上げる。