「企業の本来の使命はサッカークラブにお金を出すことではありません」
――実際にそうしているクラブはいくつもあるようですね。
「だけど銀行員は百戦錬磨のプロなんだから、サッカー市場の小ささを見抜かれてお金なんて出てこないですよ。黒字化する見込みがまったく甘いなと判断される」
――クラブ収支の大半を占めるスポンサー収入とチケット収入が不安定な要素だからどうしても収入の見込みが希望的観測になって甘くなると。
「スポンサーから契約書をとりつけることができればいいけれど、そんなことは難しいでしょう。結局クラブが厳しいときだけ泣きついてくるものだから、スポンサーからすれば、私たちに何をしてくれたの? となるわけです。
それで地域の子どもたちはサッカーで幸せになっているの? と指摘するのは当然のことで、それが見えないならばこれ以上は支援できないとなる。企業の本来の使命はサッカークラブにお金を出すことではありませんから。福岡のケースでも経済界が突っぱねているわけでしょう? 一度しっかり自分たちで努力しなさいという意味で」
――福岡の場合は記者会見を開いたあとに、めんたいこ屋の「ふくや」の支援が際立っていましたが、そのほかにも地域から支援の声が続々と挙がっているようです。
「そうなんです。それはドイツで機能しているフェラインという仕組み、地域から支えてもらうという考え方に通ずるものですよ。栃木でも『栃木にプロサッカーチームを存続させる会』が立ち上がったでしょう? 結局そういう形でクラブを支えていくのが今後のJリーグの理想だということです」
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