豪州で実現した“闘い”
試合は、両チームが日韓W杯のファンファーレで入場。日豪韓3国の国歌が流される試合前セレモニーも本格的で、選手、観客共に否が応にも気持ちが入る。ピッチ上で君が代を歌う日本の選手の表情は、何とも言えず清澄で、コミュニティの代表として国を背負うという責任感と使命感が適度なプレッシャーとして表れていた。
韓国側は、QLD州所属選手だけでは日本に勝てないということで、事前規定を差し置いて、かなりの数の他州からの助っ人選手を呼び陣容を整えただけに、チームのクオリティは高かった。試合経緯を詳述するには文字数が心許ないが、駆け足で振りかえろう。
前半のかなり早い段階で先取点を許すも、すぐに追いつき、さらに前述のキャプテン三上のゴールで突き放してハーフタイム。後半は何としても点が欲しい韓国が攻勢をかけるが、日本が集中力を切らさずに守り抜き、終了間際のダメ押しもあり3-1で勝利、スタンドの日本応援団は歓喜に包まれた。
日韓が意地をぶつけ合う試合は、かなりの緊張感で、ピッチ上のせめぎ合いにスタンドは沸いた。応援合戦にも熱が入り、スタジアムの雰囲気は、規模の絶対的な違いはあれど“日韓戦”そのものだった。
この試合のマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた石川健太郎(ライオンズFC)が、「僕だけじゃなく、皆がMVPですよ」と云うように、QLDジャパンの全ての選手が集中力を切らさずに戦い抜いた。
試合後に話を聞いたQLDジャパンの選手兼任監督の卜部太郎(元セレッソ大阪)も、「自分が求めていた、日韓戦に相応しい本当に“闘い”という感じの恥ずかしくない試合を、選手の頑張りで実現できた」と選手全員の健闘を称えた。
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