今週末のJ2リーグはいよいよ最終節を迎えるが、注目すべきポイントは、レ・コン・ビンの活躍だ。
41節岐阜対札幌同様、最終節の札幌対北九州の一戦は、ベトナム本土に生中継される。9千万人の人口を誇るベトナムでは「ベトナムの英雄」の活躍見たさに札幌対北九州を固唾を呑んで見守るのだ。かつてセリエAでキングカズが欧州の猛者たちに挑んだときに私たちがそうしたように。
しかも札幌は最終節で勝てば、自力で昇格プレーオフ圏内に滑り込めるチャンスがある。ここでコンビンがゴールを奪ってプレーオフ進出を決めようものならベトナム中が大騒ぎするだろうし、そんな光景を目の当たりにしたJクラブ勢がよりアジアにより目を向けるきっかけになるかもしれない。
来年からJ1・J2で「Jリーグ提携国枠(仮称)」の導入も決まり、タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポールなどのJリーグ提携国の国籍を有する選手たちはより獲得しやすくなったからだ。
東南アジアの選手たちは戦力としてどうなのか、という観点でも、コンビンのケースはまず問題がない。それどころか、絶対に負けが許されない札幌ドームでの40節神戸戦で訪れたPKのチャンスでは、「俺が蹴る」と自らキッカーを名乗り出ると、落ち着いて流し込んでチームを勝利に導く値千金ゴールを奪ってみせたのだ。
さすがは「ベトナムの英雄」と言われるだけの強心臓の持ち主。育成型を標榜する札幌では若い選手たちに相当な刺激を与えているという。
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