「ふざけたロスタイムですねー」の名解説でサッカー解説者としての人気が加速した感のある松木安太郎氏。「お茶の間にもとてもわかりやすい解説」だと、日本代表人と相まって、その人気は留まるところを知らない。
その解説者としてのスタンスが、テレビ朝日の意向なのか、本人の戦略なのか、あるいは、ただの素なのか、未だに真相はベールに包まれたままだが、日本代表の勇姿が伝えられたオランダ戦やベルギー戦の解説では、日頃からサッカーに携わっている者にも納得のいく解説を披露していたといえる。
特にオランダ戦の前半、日本代表が守備に問題を抱えている時間帯に素早く改善ポイントを指摘。
「このオランダの6番(ボランチ)ですねー」
「この6番がフリーになっちゃうから日本のボランチが前にいくか、トップ下の本田が下がってみないといけないね」
などと、的確に修正点を指摘してみせたのだ。
若くしてプロの指導者になった者のなかには、ゲームを俯瞰してみたときに、ピッチ上で起きている問題点をすぐに把握できず伸び悩んでいる者も実は少なくない。そんな若い指導者たちからすれば、松木氏の、ときに強烈なギャクを織り交ぜた硬軟自在のサッカー解説は、実は“うらやましい”ほどの領域なのかもしれない。
松木氏といえば、93年に開幕したJリーグの初代王者・川崎ヴェルディの監督。キングカズやラモス瑠偉らスター軍団を当時35歳の若さで率いていたのだから驚きだ。この年のファーストステージにチームは不振に陥り、セカンドステージに盛り返して優勝。そして鹿島とのチャンピオンシップも制した。
94年のセカンドステージにはコーチに現在柏レイソルで指揮するネルシーニョを招聘し、二頭体制で再度年間王者に。シーズン終了同時にネルシーニョに監督を譲ったという、今から考えるととんでもない過去を持つ。その後、日本代表など日本サッカー界の華やかな舞台の最前線で走り続けているのは周知のとおりだ。
お祭り事には必ず顔を出す男、松木安太郎。この際、お祭り事にしようとしているJリーグの2ステージ制についても松木氏に有効な戦い方を名解説していただくのはいかがだろうか。
松木安太郎、半端ないって。
【了】
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