日本人に馴染みの薄い「landerspiel」という感覚
「世界」という言葉は、もはや使わなくともよいのではないだろうか。
11月15日、16日と、立て続けにいわゆる「国際Aマッチ」を観戦した。15日は、イタリアはミラノで行われたドイツ対イタリア、16日については、ベルギーのゲンクで行われた日本対オランダ、の2試合である。
15日ドイツ対イタリアの試合については自宅でドイツのテレビ局ZDFの中継を通して観戦し、16日オランダ対日本の試合は、ある日系旅行代理店の企画したデュッセルドルフ発着の日帰りツアーで参戦した。
ドイツ対イタリアの試合の中継を観ていて、一つの言葉が気になった。「landerspiel」というドイツ語である。手元にある辞書で調べてみると、「(ナショナルチーム同士の)国際試合」とある。
「landerspiel」という言葉を砕いて調べてみる。「land」は「土地、耕地、陸、田舎、田園、地方」、といった意味の他に、「国土、国」、といった意味もある。「spiel」は「試合」である。landの中に土地や田舎という意味合いと、国土、国という意味合いが同居していることに不思議な感覚を覚えた。
しかし次の日、その「landerspiel」の感覚を、なんとなくではあるが感じることが出来た。ドイツのデュッセルドルフから、日本対オランダ戦の行われるベルギーのゲンクまで片道2時間、交通手段はバスで移動した。
当日はお昼ご飯にペットボトルのお茶とおにぎり2個が支給され、至って長閑なものだった。さながら「東京=日光間日帰り紅葉狩りツアー」のようである。そこに外国に行く、という空気は微塵もない。
バスが田園地帯の中の道路をひた走る途中、なるほどこれが「landerspiel」の感覚なのかな、と思った。言葉で表現するのはなかなか難しいのだが、お隣の土地(国)に遠征に行く…といったところだろうか。