これで松本育夫伝説も見納めだ。
41節千葉戦で1-1のドローに終わった栃木は、6位徳島が引き分けたことにより、今季の昇格の可能性が消滅した。
残り10試合となった時点で栃木の監督を引き受けた自他ともに認める「お助けマン」松本育夫監督は、9試合で6勝1敗2分という驚異的なV字回復をチームにもたらしたが、シーズン終了と同時に退陣することが濃厚となった。周囲には今季限りの退任を示唆している。
だが、昇格の可能性はなくなれども、松本育夫監督の戦う姿勢だけは消えていない。
勝利が絶対条件だった千葉戦。フクアリの完全アウェーの状況下で栃木は先制を許してしまう。だが、後半にチームは息を吹き返して、チームトップスコアラーのサビアが同点ゴールをたたき込む。勝ち越しゴールはならなかったが、持てるすべてを出して見せた。
試合後の記者会見で松本育夫監督は「今日、終わってすぐロッカールームで選手に話したのは、今日の後半のゲームをこれから京都戦でやるぞと」(J’sGoal)と胸を張るように言い放った。
昇格の可能性が潰えても戦う姿勢だけは崩さない――それがプロの仕事。お客さんの期待に全力で応えることこそがプロの仕事なのだと、常々、選手たちに説いてきた。その姿勢を京都のサッカーファンの前でも披露する。
京都といえば、松本育夫監督の古巣。かつて96年から99年にゼネラルマネージャーに就任しては、当時監督だったハンス・オフトとやり合った過去がある。剛腕、松本育夫らしく、あのオフトと喧々諤々やり合ったのである。
そんな数々の伝説を生んできた松本育夫監督にとって、京都戦はおらそく生涯最後の監督姿となるだろう。京都はプレーオフ進出が3位で出場することが確定し、最終節の勝敗には何も左右されない。一方の栃木もプレーオフ進出の可能性が途絶えてしまった。つまりは、消化ゲーム。
だが、緩んだ試合など松本育夫が許さない。消化ゲームを消化ゲームに終わらせてはお客さんの期待には応えられない。最終節で何かを起こすべく、伝説の男・松本育夫が京都に乗り込む。
そのラストダンスを、熱き魂を、絶対に見逃すな。
【了】
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