日本戦の会場ではかつて悲劇が
1985年5月29日にベルギーのブリュッセルで行われたUEFAチャンピオンズカップ1984-85決勝、リヴァプール対ユヴェントス戦の試合前に、両チームのサポーターの衝突がきっかけとなり、死者39名、重軽傷者600名という大惨事が起こる。
「ヘイゼルの悲劇」とよばれる事件は、スタッド・デュ・エイゼル(ヘイゼル・スタジアム)の客席で起こった。メインスタンドとアウェイゴール裏の中間にある「ブロックZ」と呼ばれるエリアが悲劇の現場になった。
暴動から逃げ惑うサポーターが、一斉にメインスタンドとの境に押し寄せ、老朽化したコンクリート壁が崩壊したのだ。それが大惨事につながる要因になった。
その後、スタジアムは安全なものに改修され、名称も「スタッド・ロワ=ボードゥアン(ボードゥアン国王競技場)」に変更された。スタジアム名は、1993年に逝去したボードゥアン1世・前国王の名が冠されている。
スタッド・ロワ=ボードゥアンは、今回ベルギー対日本戦が行われる会場である。
改修されたスタジアムには「ブロックZ」のエリアはない。一見、何事もなかったような印象すらあるスタジアム内部の壁面には、「In memoriam 29・05・85」と記された鎮魂の碑が、ひっそりとはめ込まれている。
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