元祖「赤い悪魔」
ベルギー代表の愛称は「赤い悪魔」だ。呼び方は3種類ある。オランダ語(フラマン語)だと「ローデ・ダウフェルス/Rode Duivels」、フランス語では「ディアブル・ルージュ/Diables Rouges」、ドイツ語は「ローテ・タイフェリ/Rote Teufel」となる。
なんで3つもあるのかというと、ベルギーの公用語が3つあるからだ。「赤い悪魔」を名乗るクラブチームや代表は世界中に山ほどあるが、3種類も呼ばれ方があるのは、ベルギー代表ただひとつだろう。
しかも、ベルギーこそが本家本元なのだ。なぜなら1906年から呼ばれているのだから。あのマンチェスター・ユナイテッドよりも60年早い。
いきさつはこうだ。1906年4月30日、ロッテルダムで行われたオランダ対ベルギー戦。試合は激戦の終盤に3-2でベルギーが逆転勝利した。
ベルギーサッカー協会の機関誌「ラ・ヴィ・スポルティヴ」の記者ピエール・ワルキエ氏は、この日のベルギー選手たちを『美しいディアブル(diables=悪魔)』と讃えた。
この言い回しが評判になり、「ディアブル・ルージュ(赤い悪魔)」という愛称が生まれたのだ。赤はベルギー代表のユニフォームの色だった。
今では、バレーボール・ベルギー代表も、ハンドボール・ベルギー代表も、アイスホッケー・ベルギー代表も、みんな赤い悪魔と呼ばれている。
そして、どこの現場にも赤い小さな角と矢印の黒い尻尾を付けたブロンド美人が出没する。
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