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我那覇ドーピングえん罪事件から6年。理事会の“司法機関”への干渉を禁止したJFA改革

text by 川端暁彦

えん罪の抑止が期待できる「不服申し立て委員会」の新設

 さらに画期的なのが「二審制の導入」である。当たり前ではあるが、人間の行う判断に間違いは付きものである。過去、JFAやJリーグの規律委員会の下した判定の中には、えん罪を疑われるケースもあった。

 国際慣行とわざわざ言わずとも、“被疑者”が判定の不服を訴える機会が必要なのは明らかで、これについても改められることになり、来年4月からは新たに不服申し立て委員会が新設されることとなった。

「これまでは(国際機関である)CAS(スポーツ仲裁裁判所)に行くしかなかった」(田嶋副会長)。実際にCASまで行って決定が覆ったケースとしては我那覇和樹選手のドーピングえん罪事件が記憶に新しいが、今後はまず国内で再審議を要求する権利が付与されたことになる。

 委員長と副委員長は法律家が務めることも規定され、法的知識の乏しい者がジャッジする、スポーツ界にありがちな問題点についても配慮されている。

 具体的に不服申し立てが可能なのは3試合以上、あるいは2ヶ月以上の出場停止、勝ち点の減点、下位ディビジョンへの降格など細かく規定されている。「退場で2試合出場停止」という処分では不服申し立てはできないが、「悪質な退場だったので4試合出場停止」という処分の場合は「いや、おかしい! 2試合くらいでしょう!」といった不服申し立てが可能になったわけだ。

 もちろん、事実認定の誤りや懲罰規定の適応間違いがあった場合に限られるわけだが、それでも決定に従うしかなかった旧来のシステムからは大きな変更と言える。自然と慎重な審議を促すこととなり、えん罪の抑止効果にもつながりそうだ。

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