日本代表へは前向きではなかった
撮影を担当した梁川剛カメラマンは「昔の猪木さんに似ていますね」とシャッターを切りながら、冗談を飛ばした。
確かに格闘家のような身体つきに加えて、かつてのアントニオ猪木のような登り調子の人間が放つ独特の空気と色気があった。
この時、日本代表の得点力不足を解消するため、フッキの帰化を望む声が一部にあった。日本人への帰化の話を振ると、フッキは笑い飛ばした。
「ジュニーニョが日本代表に入るならば応援したいね。ぼく? 考えたことはない」
同じフロンターレのジュニーニョは帰化に前向きだという報道があった。
「ぼくはセレソンに入りたいんだ。子どもの頃からの夢だからね。まだぼくには時間がある」
「日本は大好きな国だよ。みんな受け入れてくれるし。ここで仕事をしたいと思っている。セレソンが駄目ならば……考えてもいいかな」
今から考えれば、フッキはセレソンに値すると揺るぎのない自信を持っていたように思える。
セレソンにこだわってブラジル代表に留まったフッキ、スペイン代表を選んだジエゴ・コスタ――どちらの選択が正しかったのか。これも次のW杯の一つの見所である。
【次週へ続く】
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