機能しなかったゼロトップ
実際、前線でうまくプレスがかかっていた際は、今のバイエルンを彷彿とさせるようなリズミカルなパス回しも行っていた。注目のラームもまた後方で、フリーの味方を的確に見抜きシンプルにパスをさばいていた。
もっとも、バイエルン風な“ティキタカ”が機能していたのは時間帯によってまちまちだ。守備組織の構築はイタリアが一枚上手で、最終ラインの突破は許されない。プレスもピルロを軸としたイタリアの柔軟なポゼッションにいなされ、逆に手薄になったサイド、またはDFラインと中盤のあいだのスペースを攻略されていた。
また“ゼロトップ”もこの日は機能していなかった。ゲッツェは終始イタリアのCB2人に張り付かれ、両ウイングやインサイドMFもフォローに入らないため、前でボールが収まらなかった。もっともこれは、連係の深まりとともに解決するところだろう。
一方、新機軸を試したドイツとは対照的に、イタリアはキープコンセプトで挑んだ。プランデッリ監督が3年かけて作り上げたポゼッションサッカーはある程度完成を見ており、それは先のコンフェデ杯でも証明されたとおり。この日もピルロを中心に据え、他のMFが的確にフォローに動くパスワークが機能していた。
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