評価すべき試合中での修正力
デ・ヨングが前半のみで交代したのも大きかった。ボール奪取に上手いアンカーがいなくなったことで、中盤のプレスが緩くなり、広大なスペースが空いた。そこを後半から入った遠藤保仁が上手く使うことで、日本の攻撃はより威力を増した。
この試合をどう評価すべきだろうか。勝ち切れなかったのは残念だが、ポジティブにとらえていいはずだ。格上であるオランダ相手に引き分けたこともそうだが、ザッケローニ監督が強調していた「内容」は良かったと言える。
オランダ戦はあくまで本番までのテストだ。これまでの課題に挑戦し、それがどれだけ克服出来るかを測る。そういう場だ。
ザッケローニ監督が常に口にしていた「バランス」。そこを失うことはなかった。ビハインドでも守備を怠らず、攻撃が失敗するとすぐに守備へ切り替えた。そして、90分間のマネージメントと修正力。
試合は90分だ。その中で悪かったことは修正していかなくてはならない。守備での緩さは改善され、前線からのプレスは徐々に鋭さを増した。
オランダと同等レベルの国は、W杯で戦う場合、グループステージでのベスト16争い、もしくはベスト8で立ち塞がる敵となる。そういうチームを相手に対等に戦えたことは大きい。この1試合で太鼓判を押すわけにはいかないが、結果・内容をポジティブにとらえて、「やれるんだ」という自信を持っていい。
むしろオランダは懸念していたことが表面に現れてしまい、不安要素が増えたのではないだろうか。ブラジルでのこのようなピッチがないとは限らない。そういう中でよりスムーズにボールを扱えたのは日本の選手の方だった。
最後に大迫勇也と柿谷曜一朗にも触れておこう。注目を集めることが多い1トップ争いだが、大迫が一歩リードしたと言っていいだろう。たった1試合ではあるが、少ないチャンスをものにする能力は評価されてしかるべきだろう。そうでもしないと評価基準が曖昧になる。FWとは点を獲ることで評価されるポジションだからだ。