「引くなら引くでうまくやっていかないと、勝つのは難しい」
「両方ですね。どちらかひとつというのも寂しいじゃないですか。やるからには勝ちたいし、圧倒して勝ちたいですけど、相手もいることだし、チームのリズムもあるので」
勝利か結果かという質問に対する内田の回答だ。東欧遠征で2連敗を喫し、試合後は選手からは様々な意見が出てきた。メディアも選手と監督、また選手同士の方向性の食い違いを強調する記事が目立っている。
そして今回のオランダ戦とベルギー戦に向けたメンバー発表ではザッケローニ監督が「内容が悪くても結果が出ることはあるけれど、長い目でみるとやはりいいプレーをしているチームが継続して結果を残していけるチームだ」と語ったことが一部には言い訳と捉えられてしまった。
実際、セルビア戦とベラルーシ戦も勝利を目指して戦った結果、目指すスタイルが十分に機能しない中で、相手に隙を突かれて負けてしまった。そのことに関して親善試合だからと言い訳が許容されるべきではない。ただ、試合は相手がいて成り立つものであり、相手との関係で起こる現象に向き合ってその場で解決していく必要がある。
「先に点を取られるかもしれないし、俺らが取れるかもしれないし、何が起こるか分からない。試合前のプランは監督も含め自分たちもあるけど、試合は事故の連続だから。うまく行かない時にピッチに立っているのは僕らで、読みながらボールに行くなら行くし、引くなら引くでうまくやっていかないと、勝つのは難しい」
内田のコメントから攻撃のスタンスにこだわる本田との対立構造をあおる報道も見られ、そうしたことの積み重ねが選手たちの緊張関係を生んでしまっている向きもあるかもしれない。
ただ、勝つために何をすべきか、という視野に立った時、選手たちがその場の状況判断でアジャストしていけなければ、大抵の強豪に内容の良し悪し抜きに敗れてしまうだろう。