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戸田和幸という生き方(後編)

text by 大泉実成 photo by editorial staff

「やっと自分が骨を埋められるチームと出会えたな」と思ったら…

──その点では非常に一貫していますね。

戸田 そうなんです。ただ、そういう信念を持ってやっていたら、ボタンの掛け違いが起こってしまって、その過程で疲弊してしまった。感情的にもなったし、そこで自分がチームで持っていたポジションを失ってしまったんです。あの時は本当に引退しようと思いましたね。だから学ぶことが多いです。失敗ばかりですから。

──2008シーズンは千葉が主戦場でした。ここでは活躍されましたね。

戸田 途中から入る難しさというのはありましたね。結果だけが求められるサッカーだったから、サッカー的には面白くなかった。ミラー監督は、そういう意味では自由のない人で、選手に明確な役割を与えてそれをしっかりやらせようとする。

戸田和幸という生き方(後編)
2008年シーズン途中にジェフ千葉に加入し、J1残留に貢献した。【写真:編集部】

 たとえばセントラルの中盤は前に行かなくていいとか、パスはつながなくてもいいとか。だから、自分の良さなんか半分も出ていないと思う。でも、あのチームでやれて、自分では広島でたいへんな思いをしたので、取り戻せた部分が大きかったですね。凄いいいチームだったし、サポーターは本当に素晴しかったから。スタジアムも素晴しかったし、そういう意味ではみんなに蘇らせてもらった。

 だから、まさかチームに残れないとは思わなかった。最終節に出て、チームが残留を決めた次の日に、残れないって言われたんですよ。僕はチームを残留させるために来たわけですから、残留が決まった夜に、女房と2人で「ほんとによかった」と言ってたんですよ。

 清水から始まったプロサッカー選手としての人生で、いろんな経験をして、いいことも悪いこともあったけど、やっと自分が骨を埋められるチームと出会えたな、サッカーをやめれるチームが見つかったと思っていたら、その翌日に残れないって言われた。天国と地獄というのはこのことだなと思いましたね。

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