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サッカー本の「診察室」を開いた理由。『夢想するサッカー狂の書斎 ぼくの採点表から』佐山一郎氏インタビュー(その2)

text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

今、読み返すとなんか下手だったですね

サッカー本の「診察室」を開いた理由。『夢想するサッカー狂の書斎 ぼくの採点表から』佐山一郎氏インタビュー(その2)
「不特定多数の読む700万部を超す大新聞に関しては、今思えば「修行」」と佐山氏は語る【写真:宇都宮徹壱】

──ところで本書の多くは『サミット』での連載ですが、一方で『朝日新聞』や『週刊朝日』などの書評欄に掲載されたものも多く含まれています。専門誌以外の媒体でサッカー本を取り上げるのって、われわれが考えている以上に大変だったと思うのですが

佐山 不特定多数の読む700万部を超す大新聞に関しては、今思えば「修行」でしたね。逆に2桁、3桁発行部数の少ない専門誌とかマイナーメディアに慣れてしまうと、数の重みに圧迫されることはないですよね。

 ただ、新聞にしても週刊誌にしても、ある意味で「権力」ですから、新刊評を真剣に書くことで著者から感謝されることも多かったです。大感謝祭の時代でもありました(笑)。

──私も『週刊文春』で『幻のサッカー王国』(勁草書房)を、『朝日新聞』で『ディナモ・フットボール』(みすず書房)を取り上げていただいて、本当に感謝しています

佐山 今、読み返すとなんか下手だったですね。反省しています。

──下手と言いますと?

佐山 もう少し「買ってくれ! 本屋さんに行ってくれ!」という存念みたいなものを込めて書くべきだったなと。比較すれば、今のほうが上手く書けている。それはたしかです。サッカー以外の本でも、このところ上手く書けているなって思うことはあります。スタイルが出来たのかな? 決して自惚れではなく。

──「業界30余年」の佐山さんでも、そう思うことってあるんですね!

佐山 そりゃ、ありますよ。いや、思わせてください。だんだんよくなる法華の太鼓で、猿もおだてりゃ木に登る(笑)。

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