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サッカー本の「診察室」を開いた理由。『夢想するサッカー狂の書斎 ぼくの採点表から』佐山一郎氏インタビュー(その2)

text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

「何でそれが嫌いになるのか」を知りたい

──例えば、いち読み手として書店のサッカーコーナーに行くんですけど「これ、絶対手に取らないよな」みたいなサッカー本って、残念ながら絶対にあるんですよ、私の場合(笑)。食べ物と同じで、好き嫌いっていうのは誰にでもあると思うんですけど、佐山さんは好き嫌い関係なくヘトヘトになるまで読み込むのがすごいと思います

佐山 僕の場合、逆に「何でそれが嫌いになるのか」を知りたいというか。わだかまりを言語化したいというのがあったんじゃないかと思いますね。ただ、没入するための気力を蓄えるのが大変。

 締め切りがないとできないというか、むしろ締め切りに助けられているという部分もあるんだけど。人生もそうじゃない? いずれ死ぬんだからせいぜい頑張ろうみたいな話でね(笑)。

──確かに締め切りって大事ですよね(苦笑)。いずれにしても佐山さんは、日本で最もサッカー本を読んでいる人だと思うんですが。森さん、いかがですか?

 いや、絶対ほかにいないですよ。

佐山 僕自身、関連書籍以外のところで、サッカーに対して言いたいことって、もうあまりないんですよ。

 ただ、陸トラ兼用のスタジアムで、ピョンピョン飛び跳ねることもなく、より近くでジーっと(試合が)見られるような環境が当たり前になれば、すべてが良くなるとは思っているんです。まあ、このたびの(J1の)大会フォーマットの変更については、球界との比較でちょっと書きましたけどね。

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