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注目はビルドアップ!日本対オランダを、オランダ視点で楽しむ方法

text by 川本梅花

ロッベンの左サイドは慣習的なものとビルドアップとに関係している

 バイエルン・ミュンヘンに所属するアルヤン・ロッベンは、クラブでは右サイドをやって、代表では左サイドを任される機会がある。代表での左サイドには特別な意味がなく、「利き足には適正なポジションを」という慣習的な考えによるものだろう。

 自国リーグでも、4バックの左CBには左足が利き足の選手を配置する傾向にあるし、それが無理のないやり方だと思われている。たとえば、左CBの利き足が右足の場合、左サイドのタッチラインに張る選手にパスを出す時に、右足で蹴ったならアウトサイドキックを使うことになる。

 仮に、左足が利き足ならばインサイドキックで正確にパスが出せる。これは、成功する確率の問題だ。アウトサイドで蹴る場合とインサイドで蹴る場合ではより正確さなのはどちらだろうか、という問題である。

 ただし、オランダ代表でのロッベンを左サイドに置くのには、明確な目的がある。そこにはビルドアップの確率を高めるという意図が見られる。もしも、バイエルンのように右サイドにロッベンを配置したならば、当然、ピッチの中の方にカットインしてペナルティエリア内にドリブルで入ってくるプレーをするだろう。

 そうした場合、オランダ代表では弊害が出てしまう。なぜならば、WG(ウイング)の選手をタッチラインに張らせてピッチをワイドに使いたいからだ。ワイドに使うことで、相手選手もワイドにポジションを取らざるを得なくなるから、相手の選手と選手の距離間が広がってボールが回しやすくなる。ボールが回しやすくなるということは、ビルドアップがうまくいって、局面に変化をもたらした証になるからである。

 オランダ代表がどのようにビルドアップをしてくるのかに注目して試合を見ていけば、この試合の面白さが見えてくるだろう。

【了】

プロフィール

監修:林雅人
1977年生まれ。日本体育大学で選手として活躍したのち、2000年からオランダへ渡り、1部リーグのSBVフィテッセ・アーネム(SBV Vitesse Arnhem)でU‐11からU‐19までコーチ、監督を務めた。日本人初のオランダサッカー協会公認1級ライセンスのほか、ヨーロッパサッカー協会公認A級ライセンスを取得。2008年に帰国後は、東京23FCコーチ、浦和レッドダイヤモンズ監督通訳を歴任し、2012年よりフェリーチェサッカースクールにてコーチを務めている。

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