「代表に来たら割り切ってやらないといけない」

　けれども、長谷部はそうは捉えていないようだ。

「3-4-3自体はずっとやってきていること。フォーメーションを起爆剤にするより、監督は最初のミーティングで言ったような代表での心構えとか、気持ちの部分をもっともっと見たいと思う。自分たちはそういうところをもっと表さなければいけない。

　戦術どうのこうのというより、その前提の話だと思いますけど。それに自分たちは3バックと4バックの両方のオプションを持ってやってきているので、選手たちが柔軟にやる必要がありますね」

　システムを動かす難しさはあるにせよ、今回の日本代表は10月2連戦の時より選手個々の状態が上向きつつあるのは確か。香川真司がマンチェスター・ユナイテッドで出場機会をつかみ、岡崎慎司もマインツで自信を取り戻すなど、攻撃陣には特に明るい材料がある。長谷部もその現状を追い風にしたいようだ。

「所属チームでの出場機会とかパフォーマンスの良し悪しはそれぞれにあるし、大事なことだと思います。だけど、代表に来たら割り切ってやらないといけない。もし調子の上がらない選手がいたら、周りがサポートしていくべき。そうやってチーム全体が同じ方向を向くようにしないといけないですね。

　いずれにしても、10月の時とは相手が違う。その中で自分たちがやろうとしている幅のある攻めや裏を狙う動きをどんどん出していきたい。強いチーム相手にやって見えてくることもあるから。その中で内容を求めたいし、結果もついてくればそれが一番。そういう戦に持っていきたいと思います」

　チーム全体の状況を見つつ、自分自身を研ぎ澄ませていくのは容易な仕事ではない。が、日本代表がかつてない苦境にあえいでいる時だからこそ、長谷部は2つの仕事をやり抜く必要がある。この重責を果たしてこそ、長谷部は真のキャプテンになれるはずだ。

【了】

関連リンク

最下位に沈む所属クラブだが、それでも長谷部・清武は前を向く
長谷部はキャプテンとしてザックジャパンを上昇気流に乗せられるか？