「試合運びの経験が足りないなというのは痛感している」
長谷部の言う柔軟性のなさとは「試合運びの拙さ」という意味合いが強い。その象徴が6月のコンフェデレーションズカップ・イタリア戦。オランダ、ベルギーと同格の強豪をあと一歩まで追い詰めながら勝利を逃した苦い経験を、今回に生かさなければ意味がないと彼は考えている。
「試合それぞれで違いますけど、自分たちが実際に強い相手と対戦して、試合運びの経験が足りないなというのは痛感しているところですね。イタリアともあれだけいいゲームをしても勝てなかった。
そういう意味でも、オランダやベルギーのような強い相手とのアウェーでの対戦は大事。苦しい時間帯は出てくるだろうけど、そこで自分たちがどういうゲームをやれるかだと思う。そういうマネージメントを前回の南アフリカのワールドカップを経験した自分たちがやらなければいけないのは間違いないですね」
ただ、長谷部ら選手たちにとって難しいのは、ザッケローニ監督が今回のオランダ戦で3-4-3を頭から採用しようとしていること。実際、12日からスタートした合宿でもザックにとって「伝家の宝刀」と言われるこのフォーメーションの確認に多くの時間を費やしている。
選手たちはこれまで不慣れな3-4-3にトライするたびに戦術に縛られ、スムーズな動きができなくなる傾向が強かった。が、だからこそ、うまくいけばチームに大きな自信につながる。この布陣に勝負をかけ、チーム浮上の起爆剤にしたいという指揮官の意気込みが強く感じられる。
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